緑茶

中国の茶葉生産量の半数以上を占めています。
釜炒り製法で作られる緑茶がほとんどで日本茶に比べて比較的さっぱりしているものが多いのも特長です。
主な製法:殺青→揉捻→乾燥

実は、中国緑茶は釜炒りや蒸し茶という「殺青(茶葉の発酵を止めること)」の工程以外に、仕上げ乾燥(焙煎)の違いにより味わいも大きく変わってきます。仕上げ乾燥には炒り乾燥、焙り乾燥、半炒り半焙り乾燥、日干し乾燥があり、茶葉の香りにそれぞれの個性が出ます。

明前西湖龍井茶

ミンゼンセイコロンジンチャ
産地:浙江省
浙江省杭州にある西湖周辺を産地とする龍井茶は中国緑茶を代表する古くからの銘茶です。献上茶としての歴史も長く、清の康煕帝時代(1662~1723年)、または乾隆帝時代(1736~96年)からと伝えられています。
明前茶とは清明節(3月下旬から4月上旬)以前に摘まれる新鮮みあふれる新芽の茶葉を用いて作ったお茶のこと。
その年の初めての明前茶は甘み、香り共に新茶ならではの良さを持っており、茶葉はまるで碧玉のような緑色を帯び、やわらかい甘味と龍井茶ならではの豆のような香りが特徴的です。
釜に押しつけるように炒り乾燥させて龍井茶独特の扁平な形に仕上げます。

雨前西湖龍井茶

ウゼンセイコロンジンチャ
産地:浙江省杭州市雲棲区
穀雨節(4月20日頃)の前に摘まれる新芽で作られた龍井茶です。
明前茶に比べると茶葉が成長して養分を蓄えた茶葉は本来の持ち味を含んでいるため、旨味はもちろんのこと、香りの鋭さ、味わいの力強さを持っています。
※明前茶ほど中国国内での価格が高騰していないところも魅力の一つ。

杭州龍井茶

コウシュウロンジンチャ
産地:浙江省杭州市雲棲区
穀雨節(4月20日頃)以降に摘まれる味わい深い茶葉を用います。
龍井茶ならではの豆のような香りとすっきりした心地よい口当たりが特徴です。

碧螺春

ヘキラシュン・ピロチュン
産地:江蘇省蘇州市洞庭山
美しい産毛をまとった小さな新芽で作られたお茶です。
新芽ならではの甘味と優美な香り、産毛が豊富に溶け出してとろりとした口当たりは得も言われぬ心地よさを口中に残します。
明前碧螺春の最高級品となれば500gの茶葉に7万以上の新芽が含まれているほどの小さな芽をお茶に仕上げているそうです。
洞庭山の茶産地は東山、西山に分けられています。
名前の由来には諸説ありますが、「碧螺峰(洞庭東山)で採られた春茶」というのがこの名の由来と言われています。

黄山毛峰

コウザンモウホウ
産地:安徽省黄山市
中国の名山として知られる安徽省「黄山」の肥沃な土地が産するお茶です。
水墨画に描かれような神秘的な山が育んだ新芽を摘み取って作られた茶葉は黄白色の産毛に覆われています。
その味わいは繊細でありながら力強さを持ち、栗を思わせるような香りも特徴的です。

竹葉青

チクヨウセイ
産地:四川省峨眉山
その名のごとく、青々と茂った笹の葉を彷彿させるような香りと爽やかな味わいが心地良く、丁寧に摘まれて製茶されたきれいな緑色の茶葉がお湯のなかで漂う様子が美しい四川の銘茶です。
この名は1964年、国務院副総理が峨眉山に立ち寄った際に振る舞われたお茶に感動し、その場で命名されました。
※同名で「竹葉青(竹の葉を汾酒に漬けたもの)」という山西省の名酒もあります。

その他の緑茶

太平猴魁
産地:安徽省
1912年には南京に品評会で金奨を受賞し、1915年にはパリ万博で金奨を受賞したことから世界的にも認められた中国銘茶の一つです。大きな茶葉が崩れないよう丁寧に製茶されたこのお茶は非常に洗練された清らかさを持ち、甘い香りがあります。
六安瓜片
産地:安徽省
1000年以上の製茶歴史を持つ六安市で作られる銘茶で、そのまろやかさはどこか日本茶にも通じる部分があり、ふくよかな香りと深みのある後味が特徴です。1982年に全国銘茶評審会で全国銘茶称号を受賞し、1988年には全国食品博覧会で金奨に輝くなど、中国本土では知名度の高いお茶の一つ。
峨嵋毛峰
産地:四川省
細く繊細な形状で可憐な印象を受けるこのお茶は柔らかくまろやかで、かつすっきりとまとまったバランスの良さが魅力的な緑茶です。澄んだ香りがその魅力をさらに引き立て、自然な味わいを醸し出します。