ヨーロッパ地方で愛飲されるようになった紅茶も当初は中国から輸入した紅茶でした。
その後、インド、アッサム地方で発見された原木から作られた紅茶が主に飲まれるようになりました。
主な製法:萎凋→揉捻→発酵→乾燥
紅茶は17世紀初め(清朝勃興期)の、「正山小種」というお茶を起源としていると言われています。その後、確立された工夫紅茶の製法で、祁門紅茶などの銘茶が製造されてきました。
日中戦争や国共内戦、インド紅茶の隆盛などの影響を受け、一時は生産量も落ち込み、存続の危機にあった紅茶も少なくなかったようですが、今では生産量は少ないものの中国国内でのお茶ブームにあわせて高級志向の紅茶が作られるようになってきています。
キーマンコウチャ
産地:安徽省祁門県
中国で生産される最も代表的な紅茶です。世界三大紅茶(ウバ・ダージリン・キーマン)の一つ。
鮮やかな紅色のお茶の色と、柔らかく深みのある味わいが特徴的で、「祁門香」と呼ばれる特有の花と蜜を合わせたような甘い香りを持っています。
19世紀末に祁門紅茶が生産されるようになり、20世紀初め頃に年間生産量はピークを迎えました。その後、戦争の影響を受け生産量は落ち込みましたが、現在の生産量はピーク時と同程度になっています。
ラプサンスーチョン・セイザンショウシュ
産地:福建省武夷山(星村郷桐木関)
全世界で愛飲される紅茶の元祖として君臨するのがこのお茶です。
17世紀には紅茶として登場していたとも言われますが、書物に記載されている記録があいまいで、正式な起源は未だにはっきりしていないのが現状です。
当時の伝統的な製法を守って作られる茶葉は「龍眼香」と評される特有の心地よく漂う、やさしい燻煙香を持ち、献上茶の聖地「武夷山(=正山)」が育んだふくよかで深みのある味わいが特徴です。
特有の香りは加工する際の燃料に松のまきを使っているためです。
ネイコウクンフーチャ
産地:江西省修水県周辺(寧州地区)
細長い茶葉でお茶の色は淡い紅色、気品高い繊細な香りと後味に甘みを感じる柔らかい口当たりが特徴。
紅茶としての歴史は祁門紅茶より長く、19世紀初め頃から生産が始まっています。一時期は中国が輸出する紅茶として代表的な銘柄だったほどです。
テンコウクンフーチャ
産地:雲南省勐海など
プーアル茶の故郷、雲南省で大葉種茶葉を用いて丁寧に作られた金毫(ゴールデンチップ)を多く含む紅茶です。
雲南地方は以前「滇国」と呼ばれていたため、「滇の紅茶=滇紅」と命名されました。
ナッツのような香りを持ち、深みのある味わいとまろやかさ、渋みの少ない口当たりと金毫が作り出すとろみが特徴。
※写真の茶葉は完全ゴールデンチップのものです。
エイトクコウチャ
産地:広東省英徳県
味わいはすっきりしていて渋みも少なく、飲みやすいのが特徴です。
ブレンドティーに使われることがほとんどですが、特級クラスの茶葉はゴールデンチップを多く含み、ストレートでも十分味わい深いものもあります。
1959年から英徳県で作られ始めた、茶産地としては歴史の若いお茶です。
メイクイコウチャ
産地:広東省
玫瑰の花はバラ科のハマナスという種類の花で、香りが高くビタミンCが豊富に含まれており、美肌などの美容効果があると言われています。
紅茶の鮮やかな紅色と甘味と、ほのかで可憐な玫瑰の香りが心地よく、花びらが見た目にも可愛らしいお茶です。
※このお茶は花茶にも含まれます。
ライチコウチャ
産地:広東省
かの楊貴妃が好んだという南国産のフルーツ「ライチ」の果汁で香りづけをした紅茶で、果汁の自然な甘みがついています。
ベースティーには英徳紅茶が使われており、クセのないさっぱりした味わいです。
※このお茶は花茶にも含まれます。
ケイカコウチャ
産地:広東省
「桂花」とは金木犀(キンモクセイ)のことで、秋に摘まれたキンモクセイの甘い香りを紅茶に吸着させて作ったのがこのお茶です。桂花の中には痛み止めや消化促進に効果的な成分が含まれており、中国の上流家庭では庭先に植えた桂花を摘んでお客様のおもてなしのお茶にしたという話です。
桂花の優しい甘い香りと、落ち着いた口当たりの英徳紅茶が心地良い味わいです。
※このお茶は花茶にも含まれます。